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2022/4/29 第2回シンポジウム【再論】

第2回シンポジウム【再論】

ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために    

 ― 憂慮する歴史研究者があらためて訴える ― 

※YouTube配信 で 2022年4月29日 の議論をご覧ください。https://youtu.be/2Q9OnavP0Kw 


 ウクライナ戦争は決定的な節目にさしかかっています。ここで停戦に向かうのか、新しい戦争の本格的開始となるのか、それはこの戦争を見守っている世界の人々がどのように考え、声を発するかにかかっています。わたしたちの話を聞いて下さい。

報告と司会 藤本和貴夫(大阪大学名誉教授)

1 ウクライナ戦争の現段階、停戦協議の到達点と展望
伊東孝之(早稲田大学名誉教授)
松里公孝(東京大学教授)
伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)

2 米国の新しい戦争のはじまりか、日本の立場は
羽場久美子(青山学院大学名誉教授)
和田春樹(東京大学名誉教授)
富田武(成蹊大学名誉教授)

 外務省、ロシア大使、インド大使と面談してきました (2022年3,4月)

下段 左 の写真:2022/4/18インド大使館 。左から、一等書記官(政治部)スマン・カンソティヤ、羽場久美子、駐日インド大使サンジェイ・クマール・ヴァルマ、和田春樹、富田武、伊東孝之、平山茂。 写真右:3/24ロシア大使館

(2022/3/15_第1次声明)

ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか


 まえがき

 わたしたちはウクライナ戦争を一日でも早く止めるためになにができるかを考えた結果、同じ職業の仲間で、停戦と停戦の仲介を求める声明を出しました。

 戦争は一日も早くとめなければならず、そのためには即時停戦を両軍によびかけ、停戦会談を本格的に開始するように求め、必要ならば、仲裁者、仲介者になって、停戦合意をみちびく必要があります。

 日本は憲法によって国際紛争のために武力による威嚇、武力の行使をおこなうことを放棄した国なのですから、停戦プロセスに積極的に参加すべきです。
停戦と停戦の仲介を求める声をあげることが必要です。声明を支持して下さい。皆さんのご意見をきかせてください。

 最初の署名者14人を代表して 和田 春樹

賛同署名ありがとうございました。

第1次声明(3/15発、締切済)に対して1579筆の賛同署名をいただきました。

頂いた一言集


賛同署名と共にお寄せいただいた707件の熱い想いの一言コメントを掲載致しました。(27ページ)

ロシア大使との面談報告

外務省とロシア大使館に歴史家が訪問、声明を手渡しました

―――憂慮する日本の歴史家の訴え――― 

ロシア軍の侵攻によりウクライナ戦争がはじまってから3週間がすぎた。ロシア軍はキエフを包囲し、総攻撃を加えようとしている。このような戦争が継続することはウクライナ人、ロシア人の生命をうばい、ウクライナ、ロシアの将来にとりかえしのつかない打撃をあたえることになる。それだけではない。ウクライナ戦争の継続はヨーロッパの危機、世界の危機を決定的に深めるであろう。

  だから、われわれはこの戦争をただちに終わらせなければならないと考える。ロシア軍とウクライナ軍は現在地で戦闘行動を停止し、正式に停戦会談を開始しなければならない。戦闘停止を両軍に呼びかけ、停戦交渉を仲介するのは、ロシアのアジア側の隣国、日本、中国、インドがのぞましい。

  日本はアメリカの同盟国で、国連総会決議に賛成し、ロシアに対する制裁をおこなっている。しかし、日本は過去130年間にロシアと4回も深刻な戦争をおこなった国である。最後の戦争では、米英中、ロシアから突き付けられたポツダム宣言を受諾して、降伏し、軍隊を解散し、戦争を放棄した国となった。ロシアに領土の一部をうばわれ、1956年以降、ながく4つの島を返してほしいと交渉してきたが、なお日露平和条約を結ぶにいたっていない。だから日本はこのたびの戦争に仲裁者として介入するのにふさわしい存在である。

  中国はロシアとの国境画定交渉を成功させ、ロシアとの安定的な隣国関係を維持しており、国連総会決議には棄権した。ロシアに対する制裁には反対している。インドは伝統的にこの地域に起こった戦争に対して停戦を提案し、外交的に介入してきた。インドとロシアの関係は安定しており、国連総会決議には棄権している。

  だから、日本が中国、インドに提案して、ロシアの東と南の隣国として、この度の戦争を一日も早く終わらせるために、三国が協力して、即時停戦をよびかけ、停戦交渉を助け、すみやかに合意にいたるよう仲裁の労をとることができるはずだ。

 われわれは日本、中国、インド三国の政府にウクライナ戦争の公正な仲裁者となるように要請する。

  ロシア軍とウクライナ軍は即時停戦し、停戦交渉を正式にはじめよ。

 ロシア軍はロシアにとっても信仰上の聖地であるキエフへの総攻撃をやめなければならない。

 最後に訴えたい。ウクライナ戦争をとめるには、すべての者がなしうるあらゆる努力をつくさなければならない。傍観者にとどまってはならないのだ。

 2022年3月15日


伊東孝之 (北海道大学名誉教授)
加納 格 (法政大学元教授)
塩川伸明 (東京大学名誉教授)
富田 武 (成蹊大学名誉教授)
藤本和貴夫 (大阪経済法科大学元学長)
和田春樹 (東京大学名誉教授)
加藤史朗 (愛知県立大学名誉教授)
梶浦 篤 (電気通信大学教授)
豊川浩一 (明治大学教授)
長與 進 (早稲田大学名誉教授)
西 成彦 (立命館大学名誉教授)
羽場久美子 (青山学院大学名誉教授) 
毛里和子 (早稲田大学名誉教授)
吉田 浩 (岡山大学准教授)